【洋上風力発電】について、一度は耳にしたことがあるけど具体的に知らないという方へ向けて、以下の3つのテーマいついてご紹介させて頂こうと思います。
- 再エネ海域利用法と事業者選定プロセス
- 風力発電の設備構成
- 風況の調査・解析、海象調査
今回は【1.再エネ海域利用法と事業者選定プロセス】についてご紹介致します。
<再エネ海域利用法>について
再エネ海域利用法(以下、「法」)とは
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備にかかる海域の利用の促進に関する法律
(2019年4月策定)
と言われてもチンプンカンプンですね。。。以下、詳細に説明いたします。
<法>の【目的】と【目標】
要約すると「洋上風力発電の事業を国としても積極的に進めつつ、関係者及び国民がその利益を享受できるように取り組みましょう!」ということです。
<法>制定による決定事項
大きくは以下2点です。
- 公募によって事業者を選定
- 選定された事業者は海域を30年間占有が可能
促進区域とは?
洋上風力発電は、日本の海域であればどこでも実施可能という訳ではありません!
国が定めた【促進区域】でしか、事業ができないことになっています。
促進区域の指定プロセス
では、いきなり近くの海が促進区域に指定されるかというとそうではなく
長ーい、検討プロセスを経て【促進区域】に指定されます。
因みに、現在の区域指定は以下の表の通りです。
最近では2023年3月末に⑪山形県遊佐町沖が促進区域指定に同意されたみたいですね。
事業者選定フローとプロセス
先ほど<法>の制定により、事業者は公募により決定されるとお伝えしました。
では、どのようなプロセスを経て事業者が選定されるのかをご説明いたします。
事業者選定までのフロー
- 国が公募のルール(公募占用指針)を作成
- 公募占用指針に則り、事業者が事業計画を作成し入札
- 各事業者の内容を第三者委員会が確認・評価(点数付け)
- 最も評価が高かった事業者のみ選定
海域によっては事業者の数は異なりますが、事業者として選定されるのは1つのみ
つまり、選定されなかった事業者は、お金や労力をかけて作成した事業計画が実現することなく終えることになるのです。
事業者選定のプロセス
事業性の評価項目と点数は以下の通りです。
- 電力価格(120点)
- 事業実現性(120点)
電力価格による評価
電力価格は重要なファクターとして評価点の半分である120点を占めています。
仮に現在の電力価格が15円/kwhだったものが、洋上風力により100円/kwhとなってしまっては、我々国民は納得しませんよね。
よって、低価格で実現できる事業者に実施させるべく、評価点の比率が50%となっています。
事業実現性の評価
事業実現性には複数の項目に分けられており、それぞれの評価点と内容は以下の通りです。
【事業の実施能力】
【地域との調整・地域経済等波及効果】
最後に
ラウンド1(1回目の公募)の結果に業界は激震!
2021年12月24日にラウンド1の結果が出ると、
3海域共に【三菱商事】の連合が選定されました。
三菱商事チームの3海域総取りで激震! 「洋上風力ラウンド1」とは何だったのか?|ウインドジャーナル|風力発電のビジネス情報サイト (windjournal.jp)
敗北によるレノバの株価急落
ラウンド1で最も容量が大きい【秋田県由利本荘沖(82万kW)】の海域について、レノバは開発にかなりの力を入れていただけに、事業者に選定されなかった結果は株主にも大きなマイナス印象を与えてしまったみたいですね。
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基礎的な勉強をしたい方へ
色々と本はありますが、洋上風力の初心者であった私がこれらを理解する上で役立った本を簡単に紹介いたします。
1.「再エネ大国日本」への挑戦
テレ朝の山口 豊アナが有識者に再エネの可能性についてヒアリングした内容をまとめた1冊
再エネに取り組んでいる市町村へのインタビューもあって、リアルな現状を理解できます!
2.エネルギーシフト
再エネとは何か?洋上風力以外のバイオマス・太陽光などの課題と解決策を簡潔にまとめた1冊
定量的な数値で分析したり、海外の事例を交えたりと、俯瞰目線で理解することができます!
他にも、【風力発電の設備構成】や【風況調査・解析、海象調査】について初心者でも理解ができるように纏めておりますので、是非ご覧ください!