【洋上風力発電】について、一度は耳にしたことがあるけど具体的に知らないという方へ向けて、以下の3つのテーマいついてご紹介させて頂こうと思います。
- 再エネ海域利用法と事業者選定プロセス
- 風力発電の設備構成
- 風況の調査・解析、海象調査
今回は、【2.風力発電の設備構成】についてご紹介致します。
はじめに
設備構成をご紹介する前に、風力発電において理解が必須な知識についてご説明させて頂きます。
風のエネルギーの計算式
P:風のエネルギー(W)
ρ:空気密度(kg/m3)
A:受風面積(m2)
V:風速(m/s)
風のエネルギーは空気密度、受風面積に比例し、風速の3乗に比例します。
ということは、、、
- 風車サイズを大きくして受風面積を大きくする
- 風の強い地域を選定する
以上の2つがより多く発電するために必要な対応ということです。
感覚的にもなんとなく理解できますね!!
空気密度については気象条件によって決まるのでコントロールの対象外です。
(空気密度が大きい冬場の方が効率よく発電できる!程度の理解で良いと思います。)
風車サイズの傾向とリスク
近年は風車サイズの大型化(受風面積アップ)が進んでいます。
最近では、GE(米ゼネラル・エレクトリック)社が17~18MW/基クラス(2.4万世帯分)の風車を日本に導入しようとしているみたいです。
米GE、世界最大級出力の洋上風車 日本に投入 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
一方で、大型化に伴う事故も発生しており、強度計算や規制などは小型風車よりも厳しい設計が求められます。
風車の国際規格
風車及び支持構造物については、ベースに国際規格があり、さらに日本独自の気象である台風や地震を考慮しなければならず、ヨーロッパなどの台風や地震が少ない地域と比較して設備設計は厳しい条件を強いられます。
ここからは、具体的に風力発電の設備構成についてご紹介いたします。
風力発電の設備構成
風車システム・機器について
風車システム
ナセル
ナセルは風力発電設備において、【心臓】とも言われており
このナセルの中に、主要な機械設備や電気設備が集約されています。
タワー
タワーの中には各制御盤や変圧器といった設備が集約されています。
風車の基礎
洋上風力において、基礎方式は大きく【着床式】と【浮体式】の2つあります。
着床式(水深0~60mまで)
着床式には、以下5種類が存在します。それぞれについて特徴も含めてご説明いたします。
- 【重力式】
- 【モノパイル式】
- 【トライポジット式】
- 【ジャケット式】
- 【トリパイル式】
【重力式】
【モノパイル式】
【トライポッド式】
【ジャケット】
浮体式
浮体式には、以下3種類が存在します。
- 【スパー式】
- 【セミサブ式】
- 【テンション式】
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の資料によると、日本における【浮体式】は、長崎県五島市沖は商用運転を開始しているだけで、福島県沖は実証試験、それ以外はまだ試験にも至っておりません。
つまり、浮体式はまだ技術確立れておらず、開発段階ということです。
(今は開発段階ですが、近々技術確立されるんだろうと思います。)
【NEDO資料】
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【福島県沖】
基礎設置方法
電力ケーブル
電力ケーブルの概要
電力ケーブルには、【海底ケーブル】と【陸上ケーブル】があり、その範囲は以下の通りです。
- 海底ケーブル(風車~揚陸変電所)
- 陸上ケーブル(揚陸変電所~連係点)
海底ケーブルの敷設方法
なかなか見慣れない海底ケーブルの敷設方法について簡単ですがご紹介致します。
制御(機械・電気)
風車のピッチ制御・ヨー制御(機械)
風速が上昇すればするほどできより多く発電が可能かと言うとそうではなく、ある風速まで達するとこれ以上発電できない領域があります。
また、風速上昇に伴いブレードの回転が速くなると機械的な故障リスクも増加するため、制御する必要があります。
【ヨー制御】
風車本体を回転させることで、受風面積を調整する制御方法。
【ピッチ制御】
ブレードの角度を調整することで、受風面積を調整する制御方法。
発電機の可変速制御(電気)
まとめ
- 風車の受風面積、風速が大きいほど発電量が大きくなる。
- 主要構成はブレード・ナセル・タワー・基礎に大別することができる。
- 基礎方式は【着床式】/【浮体式】が存在する。
- 浮体式は現在も開発段階。
- 機械的制御方法として、ヨー制御・ピッチ制御がある。
- 電気的制御方法として、DCリンク方式・二次励磁制御方式がある。
他にも、【再エネ海域利用法・事業者選定プロセス】や【風況の調査・解析、海象調査】について初心者でも理解ができるように纏めておりますので、是非ご覧ください!