【洋上風力発電】について、一度は耳にしたことがあるけど具体的に知らないという方へ向けて、以下の3つのテーマいついてご紹介させて頂こうと思います。
- 再エネ海域利用法と事業者選定プロセス
- 風力発電の設備構成
- 風況の調査・解析、海象調査
今回は、【3.風況の調査・解析、海象調査】についてご紹介致します。
尚、1と2については既にご紹介しておりますので、本記事の最後にリンクを添付しておきます。
洋上Wind Farm開発に必要な調査と目的
Wind Farm:集合型風力発電所(集合型風力発電所 – Wikipedia)
必要な調査

必要な調査は上記4つありますが、その中でも特に重要な
【風況の調査・解析】と【海象の調査】について詳細にご紹介致します。
調査の目的
調査の目的としては、工事計画・事業計画の検討に必要な情報を得るためです。
具体的には、【風車の設計】、【発電量/設備利用率】、【リスク評価】などを検討する際に必要になります。

風況の調査・解析
風況調査
風況調査では以下6項目を【直接測定】または【間接測定】により調査します。
特に【平均風速】と【風向】は非常に重要な情報となります。
- 平均風速
- 風向
- 気温
- 湿度
- 気圧
- 水温

では、これらの調査項目をどのように測定するかを次でご説明します。
直接測定
直接測定は、風車設置予定場所にタワー・ポールを設置して、実際に風速や風向を測定する方法です。


風車を設置したい場所近辺に風況観測タワー・ポールを立てることで、実際の風況調査ができるためデータの精度は高いものの、タワー・ポールを立てる費用が高額になるというデメリットがあります。
間接測定
間接測定は、ドップラーライダーという機械を海岸に設置して、間接的に測定する方法です。

費用としては直接測定よりも安価にできるものの、データ精度が気象条件によって悪化するため正確なデータを取得することが難しいです。
風況解析
風況調査で得たデータをもとに解析を行い、洋上風力に適した場所かを判断します。

風況調査・解析による発電量の推定
風車での発電量の計算や設備稼働率に関しては、以下の式を用いて算出します。
得られたデータによって発電量や設備稼働率が算出されるため、データの精度が非常に重要であることは理解できるかと思います。

データの精度が高い【直接測定】は費用が高額になる一方で、【間接測定】はデータ精度が悪いという一長一短のような状況に加え、洋上風力発電事業が公募制(お金を掛けても無駄になる可能性がある)であるため、事業者でどちらの方法を採用するかが難しいのが現状です。
公募制については、以下の記事で詳しくご紹介しております。
海象調査
海象調査には、【波浪調査】と【潮流調査】の2つがあります。
特徴は以下の通りですが、主に風車の基礎設計において重要になってくる情報です。

風況調査からWF設計までのフロー

調査開発に係る法律関係とNK認証
法律関係
電気事業法、環境影響評価表、港湾法、船舶安全評価表、建築基準法など関係する法律や省庁が数多くあるところが、事業開発する上でマンパワーが必要になります。


NK認証について
風力発電所を建設するサイトの環境条件の評価を行い、その環境条件に基づいて風車及び支持構造物の強度及び安全性が設計上担保されていることを認証してもらう必要があります。

詳しくは、ウィンドファーム認証 | ClassNK】を参照ください。
風力発電の設備構成については他の記事に纏めておりますので、こちらも是非ご覧ください。
まとめ
- 風況調査・解析は風車の設置場所を決めるために非常に重要
- 風況調査には【直接測定】と【間接測定】があり、どちらも一長一短
- 関連する法律や省庁が多岐に渡り、開発には相応のマンパワーが必要
- NK認証を取得しないとWF認証を取得できない